マリオシリーズのスポーツ部門としてはもっとも多くのタイトルが発売されているマリオテニス。その最新作でニンテンドースイッチ初となるのが本作「マリオテニス エース」が2018年6月22日に発売されました。
前作はWii Uで2016年1月に発売された「マリオテニス ウルトラスマッシュ」ですので、約2年半ぶりとなる新作になります。
今回発売されて実際にプレイしたので、1人のユーザー視点で良い所も悪い所も両方ひっくるめてレビューしていきたいと思います!
「マリオテニス エース」の特徴
最新作「マリオテニス エース」では、一部従来の作品にもありましたがかなり多くの新システム・新要素が盛り込まれています。
- 照準を合わせてショットを放つ「ねらいうち」
- スローモーションの中素早く動く「加速」
- まさかの壊されるとK.O「ラケット破壊」
- ラケット破壊を防ぐ「ブロック」
- 各キャラ固有の「テクニカルショット」
- 復活した「スペシャルショット」
- 溜め要素「エナジー」
テニスゲームと言うと、通常のショットに加え「スライス」「フラット」「ロブ」などを使い分けて試合運びをするのが一般的だと思いますが、本作ではそれに加えてかなり多くの要素を使いこなす必要があります。
ストーリーモード序盤はチュートリアル的な位置付けになっているので、少しずつ操作を覚えていくことができますが、これら全てをマスターするにはそこそこ練習が必要だと感じました。
他にも「Joy-Conによるスイングモード」やオンライン対戦による「トーナメント」などのモードが備わっています。
新システムの紹介
公式でも説明はされていますので、ここでは簡単に新システムの特徴をご紹介していきます。
溜め要素「エナジー」
各システムを紹介する前に、それらを発動するのに必要となってくる「エナジー」について触れておきます。
画面左上にあるゲージがその「エナジー」となるのですが、このエナジーを消費して各種特別なショットを発動していきます。
このエナジーはふつうにラリーしていても溜まるのですが、このようにチャージショットをマックスまで溜めることでより多くのエナジーを増やすことができます。
復活した「スペシャルショット」
ゲームキューブで発売された「マリオテニスGC」以来となる「スペシャルショット」が復活しました。いわゆる必殺技ですね。
画面左上の「エナジー」が全て溜まった状態のときに発動でき、強力なショットを相手にお見舞いすることができます。
スペシャルショットは各キャラクターごとに固有のものが設定されています。
新システム「ねらいうち」
従来だとジャンプショットの位置付けだったのですが、高めのボールが上がりコート上に☆マークが表示されたときに「ねらいうち」ができるようになりました。
FPSゲームのような画面に切り替わり、狙い撃ちをする照準を合わせてショットを打ちます(ちなみにエナジーを消費します)
当然ながら強烈なショットですので、場合によっては相手プレイヤーめがけて打つことも戦略の一つになります。
ちなみに「スペシャルショット」を打つときもこの「ねらいうち」が発生します!
新システム「ラケット破壊」
現実世界のテニスでは相手のショットで壊れることなんてほぼ見ることはない「ラケット破壊」が導入されました。
ラケットに耐久値のような概念が追加され、相手の強烈なショットをタイミングよく打てなかったときにダメージを受ける仕組みとなっています。
スペシャルショットだと1発で破壊されることもあり、ねらいうちだと1/3分削られることになります。
ラケットのストックは2本まで持てるので1発K.O.ではないのですが、ゲーム数を無視して試合を終えられるのでかなりの脅威と言えます。
新システム「ブロック」
ラケット破壊の概念が追加されたことによって導入されたのが「ブロック」です。
強烈なショットに対してちょうどいいタイミングで返すことでこのブロックが発動します。うまくブロックできるとラケットにダメージが入ることがありません。
しかし、タイミングが早かったり遅かったりするとラケットにダメージが入ってしまいます。上級者向けのテクニックと言えます。
新システム「加速」
相手が強烈なショットを撃ってきたときなど、すぐさに反応できない場合があります。そんなときに役立つのが「加速」です。
これを利用している間はボール・相手プレイヤーの動きがスローモーションになり、タイミングを合わせた操作ができるようになります。
ラケット破壊されないようにもこの機能はわりと重要になってきますが、当然ながらエナジーを消費するので多用することはできません。
トリッキーな動きをする「テクニカルショット」
各キャラクターごとに個別に備わっている「テクニカルショット」というものも追加されました。
だいたいのテクニカルショットは瞬時に移動する系のものになっていて、これが成功することでより多くのエナジーを溜めることができます。
しかし失敗するとエナジーの無駄遣いになってしまうという諸刃の剣な技と言えます。
「マリオテニス エース」モード紹介
本作のメインメニューでは6つのモードが選べるようになっています。
- ストーリーモード
- トーナメント
- フリーマッチ
- スイング
- あそびかた
- オプション
ゲームプレイとなるのは上の4つとなっています。その4つのモードについて簡単にご紹介します。
「ストーリー」モード
とあるテニス大会当日、突如現れた様子のおかしいワリオとワルイージが持ち込んだ怪しげなラケットの力で会場が大荒れします。いつもながら損な役回りのルイージがそのラケットを手に触れてしまい、彼らと同じ様にこつぜんと姿を消してしまいます。
そんなルイージを救うために、マリオがテニスという手段を使ってクエスト風にバトルを進めていくストーリーモードとなっています。
ゲーム序盤は操作方法や各種システムなどのチュートリアル的な作りになっているので、まずはストーリーを進めながら操作感を掴んでいきます。
いわゆるテニスの対戦だけではなく、ノルマをこなしたりパックンフラワーを倒したり、ボス的なものと戦ったりと趣向が凝ったものが多くあります。
新たなラケットもストーリーモードの中で入手することができるので、オンライン対戦する前にストーリーモードはぜひ進めておきたいところ。
ただボリュームは少ないですし、難易度にバラつきがある人によっては難しいと感じるかもしれません。
「トーナメント」モード
本作のほぼメインモードと言えるのがこの「トーナメント」です。
「スタンダード部門」と「シンプル部門」の2つに分かれていて、スタンダード部門では今回紹介した新システムを含めた本作ならではの要素が有効になったテニスを行います。シンプル部門はそれらの要素を排除し、ごくごくシンプルなショットだけの試合となっています。
トーナメント制にはなっていますが1試合ごとにマッチングがされるので、あくまで「トーナメント風」のシステムになっています。
マッチング自体は任天堂タイトルらしくスムーズに行われますが、海外の人ともマッチングするので回線状態が悪い人ともマッチングされてしまうのが残念なところ(回線が悪い相手のときはキャンセルした方がいいです)
また、初心者もベテランも関係なくマッチングが行われているせいか、ふつうにめちゃくちゃ上手い人と対戦することもあります。
オンライン対戦時の試合自体は軽快に遊べて楽しいのですが、やり始めは負け続けることも覚悟しないといけないです。
「フリーマッチ」モード
スイッチ本体だけで遊ぶか、ローカル通信を行って対戦するか、インターネットでトーナメント関係なしに対戦するかを選ぶことができます。
Switch1台で4人まで同時に遊ぶことができますので(コントローラーは4つ必要)、みんなでワイワイダブルス戦を遊ぶこともできます。
インターネット対戦もトーナメント同様に相手の強さを選べないので、トーナメントの成績に影響させたくない場合に対戦練習するモードといえます。
ストーリーモードを除いて、各キャラクターは自由に選択することができます(解放されていないキャラは除く)
キャラごとに「オールラウンド」「テクニック」「パワー」「ディフェンス」「トリッキー」「スピード」の6つのタイプに分かれています。
今後追加予定のキャラとしては「ノコノコ」「ゲッソー」「ディディーコング」「キャサリン」「パタパタ」が発表されているので、様々なキャラクターで遊べる面白さはありますね。
「スイング」モード
スイングモードはJoy-Conを縦に持って振ることで体感的に遊べるモードになっています。
キャラの移動は半オートなので、基本的にはJoy-Conを振る動作を集中して行えばテニス気分を味わえるモードになっています。
Wiiスポーツであったテニスをイメージしてもらえばわかりやすいでしょうか。あれに近いです。
「ふつうのボールで」「大きなボールで」「ラリーチャレンジ」の3つの遊び方が用意されていて、最大4人まで同時に遊ぶことができます。
ボールを大きくするとビーチボールを打ってるような感覚で、球が大きいので「小さなお子さんでも遊びやすいように用意されたのかな」という印象を受けました。
基本は振る動作だけなので、老若男女問わずパーティゲーム感覚で遊べるのは非常に面白いと感じました!
「マリオテニス エース」をプレイして気になったところ
ここからは私がプレイしてみて思ったことの感想を述べていきます。
不満な点も述べているのでちょっと上から目線なコメントに聞こえる部分もあるかもしれませんが、あらかじめご了承ください。
テニスゲームとしては面白い
今回かなり多くのシステム・要素が追加され、操作することは非常に多くなりました。
テニスゲームなので当然ながら左右上下の打ち分けと球種の使い分けがベースにあり、そこに「ねらいうち」「加速」「ブロック」「スペシャルショット」「テクニカルショット」などの要素が絡んでくるので、慣れないうちはめちゃくちゃ大変です。
ただ、理不尽に操作が難しいというわけではなく、そこそこ練習(数時間程度)をすれば各要素を使いこなすことができるレベルになります。
逆に小さなお子さんにはコントローラーを使った操作は難しいと感じました。
オンライン対戦がメインコンテンツ
本作では「ストーリーモード」や「ローカル対戦」などの要素がありますが、正直いってオマケレベルです。やり込み要素はほとんどありません。
ストーリーのボリュームがそんなにないですし、ローカル対戦も友人や家族が集まったときぐらいしか遊びませんからね。
そのため、あくまで「オンライン対戦」が本作のメインと言えます。
マッチングも比較的サクサクでリプレイもサッと飛ばせるので、次から次へと対戦していける軽快さがあります。
マッチングバランスが改善された
上記画像は発売されてから5日後に私がプレイしたときの世界ランキングボードなのですが、その時点ですでに1000試合近くプレイしている人たちがいます。しかも勝率が皆モンスター級です(笑)
これは体験版のデータが引き継ぎできることも要因だと思われますが、とにかく強い人が多いです!
そういった人たちは強い人たち同士で戦ってほしいと思うところなのですが、本作ではトーナメント制なのにも関わらず強い人も初心者も関係ないランダムマッチングがなされます。
そのため、発売されてまだ間もない時期ではありますがボコボコにやられます。ECサイトのレビューでも書かれていますが、この辺の不満の声も多いです。
実力が拮抗しているプレイヤーとの対戦は白熱して非常に面白いのですが、一方的なワンサイドゲームをやられるとやっぱりつまらないですよね。
【2018/08/06追記】本記事執筆後の2018年7月からレーティング機能が実装されたので、トーナメントでマッチングする相手プレイヤーの実力がだいぶ拮抗するように調整されました。
リリース当初は強いプレイヤーともガンガン対戦していたためつまらなく感じましたが、今は毎試合白熱した試合が楽しめるようになったと感じました。
レーティングも月替わりでリセットされるので、永遠にレーティングが離されるということもありません。これから始まる方にも挑みやすいオンライン対戦の仕組みになったのではないでしょうか!
上級者同士の戦いになるとダンスゲームになりやすい→改善中
私がその域に達しているわけではないのですが、上級者になると「テクニカルショット」をひたすら使いまくってエナジーを溜め、「スペシャルショット」「ねらいうち」でポイントを取る繰り返しになってしまいます。
その中でも守備範囲の広いディフェンス系のキャラである「クッパJr.」「ワルイージ」の強さが飛びぬけています。先ほどのランキングボードでも、上位の人達はヨッシーを除いて全員がディフェンスキャラです。
テニスゲームとしての出来はよいと思うのですが、突き詰めるとゲームバランスの甘さが見えて来る感じでしょうか。
今後のアップデートでバランス調整に期待するしかありませんね。
【2018/08/06追記】8/1に配信されたVer.1.2.0では各キャラクターの性能にも調整が入り、全体的なゲームバランスが随時調整されています。
レーティング機能の導入のおかげもあって、特定の動きだけが繰り返されるというような試合展開にはならなくなりました!
もちろんレーティングが低くても上手いプレイヤーはいますので一筋縄ではいかないこともありますが、ゲームを始めたばかりのプレイヤーでも善戦できる回数は増えたと感じます。
パーティゲームとしてのスイングモードは面白い
往年のWiiスポーツを彷彿とさせる実際にスイングすることで楽しめるテニスゲームとしては非常に面白いです。
タイミングを合わせて振るだけでよいので、人が来たときにパーティゲーム・スポーツ感覚で楽しめます。スティックを使ってキャラを移動させることもできますが、基本的に自動で球を追いかけてくれるのが楽でいいですね。
このモードのためだけに買うとなるとちょっと高いかもしれませんが(笑)
「マリオテニス エース」雑感
リリース当初は賛否両論分かれるゲームではありましたが、アップデートにより今では幅広い層におすすめできるゲームになったと私は感じます!
- オンライン対戦で腕を磨きたい人
- 運要素がないガチンコの対決を楽しみたい人
- 強い人と対戦してもくじけないハートを持つ人
- みんなでワイワイテニスを楽しみたい人
メインはどうしてもオンライン対戦(トーナメント)になってしまいますが、たまに友人・家族とワイワイ遊ぶのにも適したソフトだと言えます。
ただ、オフラインプレイ(ストーリーモード)目当てで買うのはボリューム的にもあまりおすすめできないですが。。。
ニンテンドースイッチで遊べるスポーツゲームとしておすすめのタイトルです!