発売元 : バンダイナムコエンターテインメント
ジャンル : フライトシューティング
プラットフォーム:PS4・XBOne・Steam(Steam版は2/1発売)
前作から12年もの月日が経ち、発表されてからも相次ぐ延期とずっと長い間ファンが続編を待ち焦がれていたナンバリング最新作「ACE COMBAT 7: SKIES UNKNOWN(エースコンバット7)」
実在する多数の戦闘機も登場する、フル3Dで描かれるフライトシューティングゲームの最高峰として満を持して発売されました!
発売直後は高評価が多かったものの、気付けば悪い評価も増えて、賛否両論が巻き起こる事態となっています。
私は熱狂的なエースコンバット(以下、ACE)のファンという訳ではないですが、ファミコン初期から現役機まで様々なゲームをプレイしてきた一ユーザーとしての感想を述べたいと思います。
エースコンバット7が賛否両論な理由と個人的感想
あくまでACEは”フライトシミュレーター“ではなく”フライトシューティングゲーム“だと思っています。
シミュレーターのような複雑な操作不要で自由に空を飛べますので、多くの人が同じような感覚を持っていることと思います。
そんなACEに雲や雷雨、乱気流などの気象要素が本格的に導入されたのが本作「ACE COMBAT 7: SKIES UNKNOWN」です。
これによって、カジュアル傾向にあったフライトシューティングの難易度がグッと上がったと感じました。もともとACEの難易度設定は高めではありましたが、より高まった印象を受けました。
本作のキャンペーンモードは初期で「EASY・NORMAL・HARD」の3つから選ぶことができるのですが、EASYでも非常に難しいと感じる人が多い調整になっています。
もともとACEはEASYでもある程度失敗を想定した難易度ではあったものの、今回はそれを上回る難しさになっています。
メインの敵となる戦闘機がUAV(無人航空機)ということもあるせいか、敵機を単純にロックオンするだけだと誘導ミサイルから回避されることも多く、制限時間も設けられていることが関係していると思います。
また、1つのミッションが長めでだいたい15~20分くらいのボリュームがある上に、失敗時に途中からやり直すためのチェックポイントが無いミッションも存在します(対地戦や障害物避け系も多め)
チュートリアル的な要素も少ないですし(フレアの使い方の説明って最後までなかった気が…)、初めてプレイするユーザーにはちょっと不親切な作りとも言えます。また、次々に敵機を撃墜する爽快感を求めるファンにももしかしたら物足りない作りかもしれません。
進化してよりリアリティが増した結果、その辺りのギャップが生まれたと言えるでしょうか。
ただ個人的には、(比較的手軽な操作で)非常にリアルな戦闘機搭乗体験を得られるフライトシューティングゲームとして素晴らしい出来になっていると感じました。
私は戦闘機に乗ったことはもちろんありませんが、「実際に空を飛んでのドッグファイトってこんな感じなんだろうな」という感覚が味わえました。雷雨の中なんて特に方向感覚が狂うので、緊張感で手に汗がじっとり滲むほどです。
NORMALでプレイしてみましたが、確かに難しいです。同じミッションでも何度も繰り返すことはありました。ただ、プレイを繰り返すことで自身の腕前を上げつつ、攻略の糸口も見つけることはできます。
「AIRCRAFT TREE」で機体や特殊兵装、ウェポンの解放などによって性能を上げ、ミッションを攻略しやすくすることも可能です(ポイント獲得にはマルチプレイが役立ちます)
難易度は格段に上がりましたし、初心者の方や3Dシューティングに馴染みの薄い方にはハードルが高いですが、やり込めばきちんと攻略できるゲームバランスではあると感じます。
もちろん他にも気になる点はいっぱいあるので、本作を面白くないと評するユーザーの気持ちもよく分かりますし、その通りだとも思います。そういう意味で、万人向けではなく人を選ぶゲームなのだと思います。
手放しでおすすめできるタイトルとは言えないものの、骨太でリアリティのあるシューティングとして私は評価したいです!
ここからは、本作の特徴やゲーム要素ごとに感想・気になった点を述べていきます。
あくまで私個人の考えとなりますのでご了承ください!
グラフィックの大幅な向上!空の革新が実現
前作がXbox360、前々作がPlayStation2ということもあって、当然ながらグラフィック性能は大幅に向上!非常に美しい空での戦闘が楽しめます。
本作は”空の革新“がテーマということもあって、雲の存在や降雨・霧・露・落雷・砂嵐・気流など、より自然を感じる作りになっています。
雲も単なるエフェクトだけではなく、雲の中だとロックオンしにくい(されにくい)など戦闘における効果が表れる作りになっています。雲の上に行って戦うことも可能です。
他にも、雲の中にいるとキャノピー(コックピット前面)に水滴が付いたり、長い時間いるとアイシング(着氷)されて視界低下・機体性能低下など、見た目だけではない点もリアルです。
雷に撃たれるとHUD(前面ディスプレイの情報)が一定時間乱れたときはビックリしました。実践ではあんな雷雨の中で戦うなんてことはないのでしょうが、恐怖を感じました。
これらの要素はプレイしてるともちろん煩わしく感じますが、リアリティを追求した結果としてこのようなエフェクトがあるのはいいのではないでしょうか。
天候が悪い中で雲の中にツッコむと、方向感覚が失う場面もしばしばありました。こういうのを「空間識失調(バーティゴ)」と呼ぶようなのですが、そんな時は計器を頼って操縦するしかありません。
そういう実際の戦闘機乗りの方が体験する感覚がゲームで味わえるというのは、すごいと言えます!(後述しますがVRモードはもっとヤバいです)
ACEらしい難易度と言えるもののちょっと難しすぎる調整
キャンペーンモードでは最初に”EASY・NORMAL・HARD“から難易度を選択するのですが(途中変更不可)、全体的に難易度が高めです。
私はNORMALで遊びましたが、各ミッションごとに何度失敗してもおかしくない難度設定だと思いました。
今作は味方NPCがほぼ役に立たないため、基本的には自力で頑張るしかないのでその辺も関係しているのかもしれません(制限時間も厳しい)
さらに敵機がUAVのせいか、ロックオン&ミサイルを撃っても避けられることが多いです。VRモードでは”EASY”で試したのですが、ただロックオンするだけだとEASYでもバンバン避けられてしまいます。
ACE5だと目安が書いてありましたが、EASYでも平均トライ数1~4回程度と示されています。そのため、失敗を重ねて攻略していくことが前提に作られていると言えます。
エースコンバット自体が、失敗を繰り返して上手くなっていくのが前提に作られている感じなのでこういう調整なのだと思いますが、少々初心者には難しすぎるかもしれません。
昨今のゲームで言う“NORMAL”が本作での”EASY”にあたる感覚でしょうか(できれば”VERY EASY”を用意したほうがよかった気が)
戦闘機なので当然ながら撃墜・墜落した瞬間ミッション失敗なのも、難しく感じる要因かもしれません(ロックオン対象の精度が悪いとも思いました)
そういうことを加味すると、エースコンバット初心者の方や3Dシューティング・アクションが苦手な方にはかなり難しいゲームと言えますね。。。
ストーリーは従来と趣の異なる壮大な映画のよう
エースコンバットはシリーズを通して同じ世界観で描かれていますが、本作のストーリーはACE5から約9年後・ACE6から約4年後の戦いが描かれています。
ACE4と同じユージア大陸が舞台となっており、オーシア連邦とエルジア王国の対立が双方の視点から描かれています。
挿入されるムービーや演出などが非常に綺麗で魅力を感じる一方で、世界観にあまり触れずに一気に話が進んでいくので過去作をプレイしていないと序盤は理解しにくいかもしれません。
肝心のストーリー部分も従来と趣が異なり、人物中心の話というよりは場面場面で話のスポットが移ることもあり没入感は得にくいです。例えるならば、壮大な映画のような俯瞰性があるといったところでしょうか。
中盤までは敵との戦闘もほとんどUAV(ドローン)ということもあり、戦闘によってこみあげて来る熱さみたいなものは少なめだと感じました。
本作のストーリー単体で見ると面白くなっているとは思ったものの、シリーズ作と比較すると難しい評価を受けてしまっているのでしょう。
あと、ミッション総数は20なのですが話が駆け足気味に感じましたでした。登場人物個人個人の描写が少なく大局的な話がメインになっていたので、もう少し丁寧に描いてほしかったとは思います。
マルチプレイモードはルールが少ないのが残念
マルチプレイに関してですが、本作で用意されているルールは最大8人までの「バトルロワイヤル」と「チームバトル」のみになっています。
ステージやトータルコスト制限、特殊兵装の可・不可などの条件を設定できますが、少々物足りなさを感じます。
どちらのルールでも、手に汗握るリアルな戦闘機同士のドッグファイトがで堪能できますが、全体的にワチャワチャしてます💦
基本的にプレイヤー同士ということもあり、「ロックオンされたら旋回」の繰り返しになりがちということもあり、わりと狭い範囲でクルクル回ってばかりになりがちでした。
マップの広さはそこそこあっても、みんなマップ中央に集まって戦うのがなんか滑稽です(笑)
実際の戦闘機の戦いというのは映画・ドラマの中でしか見たことがないので、これがリアルなのかどうかは私には判断付かないのですが、もっと奥深い戦略要素などが欲しいところ(個人的には楽しめましたが)
ちなみに、機銃を上手く扱えるようになるとより上位に上がりやすいと感じました。敵機の追い方やミサイルを撃つタイミングにも、熟練者との差を感じます。
VRモードはアミューズメント施設レベルのハイクオリティ
VRモードではキャンペーンモードと同様に”EASY・NORMAL・HARD”を選び、3つのミッションを体験できるようになっています。
ちょっとしたオマケ要素に近いモードと言えます。
ただ、そのプレイ感覚は生半可なものではありませんでした。本当に戦闘機に乗ってドッグファイトを繰り広げているんじゃないかと錯覚するほどでした。
コントローラーによる操作はほぼ同じなのですが、頭を動かせばその通りの視界が広がります。首を振って左右を見れば、僚機の姿をきっちり確認することができるわけです。
そんな中で始まった敵機との戦闘。上下左右に世界が動き回り、気付けばG(重力)を感じます。椅子に座ってるだけなのに…。
椅子の背もたれに体を預け、空中旋回中に頭だけを動かし敵機を狙う様子はまさにリアルそのものでした。
汗が滝のように流れ、頭がグワングワンし出したころには戦いへの恐怖心に私は浸食されていました。10分過ぎたあたりから集中力が持たなくなり、最後には方向感覚を失い墜落しました。。。
そもそもVRは酔いやすいものですが、あまりの臨場感とリアルさにあっという間にリタイヤでした(中には全然平気な方もいるようですね)
正直言って本作のVRモードはアミューズメント施設にあっても遜色ないレベルじゃないでしょうか(グラフィック性能はちょっと低いですが)
さすがにこのVRモードだけを目当てに買うにはボリュームが足りませんが、一度体験する価値は充分にあります!
総評:好みが分かれる正統進化を遂げた新しいエースコンバット
これが良い進化といえるのか悪い進化といえるのかは、人によって評価が大きく分かれる結果となりました。
本作でのポイントを最後に整理させてもらいます。
- 「空の革新」をテーマに様々な気象要素が導入されており、グラフィックが非常に綺麗
- ACEらしい骨太な難易度設定なものの、EASYでも心折れる人が多い
- 壮大な映画のようなストーリーなものの没入感は少なめ
- 1つのミッションあたりが長く、ミッション構成が対地戦・障害物避けが少し多め
- マルチプレイモードはルールが少なく戦いが単調になりがち
- VRモードはGを感じるほど臨場感があってヤバい
- 早期購入特典のHDリマスター版「エースコンバット5」DLCの出来が素晴らしい
他にも不満点はあるのですが、本作単体で見るとリアルな戦闘機乗り体験が味わえるゲームとして素晴らしい出来になっていると思います!
ちなみに早期購入特典ではPS2で発売された「エースコンバット5 ジ・アンサング・ウォー」のHDリマスター版のDLCコードが付いてきます。
単なる移植ではなく、ちゃんと画面サイズも16:9でフルHD化されています。さすがにACE7をプレイした後だとグラフィックは劣って見えますが、PS4時代の今でも何ら遜色なく遊べる仕上がりになっています。
ダウンロードサイズも17.6GB(2019年1月18日時点)と特大ですので、そこからもHD化の本気度が伝わってきます。
シリーズの中でも最も好きなタイトルとして挙がることの多いACE5ですので、特典が付いているうちに早めに購入するのがお得だと思います!