なぜ円グラフを安易に使ってはいけないのか?実際にグラフを使って理由を説明します

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先日、とある事故に関連したニュースが流れる中で、認識を誤りやすい典型的な円グラフが映っていたんです。

パッと円グラフを見ると、「小型機の事故って断トツで多いんだな~」と思ってしまう内容でした。しかし、数値をよ~く見てみると、事故件数の第1位は『ヘリ』だったのです。グラフとしての価値が疑われてしまう表現がされていました。

その時は、吹き出しでグラフ上に強調されていたことも影響しそうですが、そもそも円グラフってデータの認識がしにくいんですよ。

円グラフは安易に使ってはダメです!

特に3D円グラフはもっとダメ!

一部の外資系やコンサルティング会社など、「円グラフは基本的に禁止」とされているところもあるくらい、円グラフを使うことは避けた方が良いとされています。

最も使われがちでありながら、もっとも使わないほうがよいのが実は「円グラフ」です。円グラフは割合を角度や面積という正確に比較しにくいものに頼る表現のため、詳細な比較には向いていないことが理由です。

引用元 : 99%の人がやらかす「ダメ資料」ランキング

ということで、今回は円グラフのサンプルを見ながら、なぜ円グラフを使ってはいけないのかを目で見て実感してもらいたいと思います。

サンプルで見るダメな円グラフ

今回は、ダミーデータとしてシンプルに架空の家電量販店の製品別売上比率を例にしたいと思います。全て適当に設定した数値になっていますので、「その製品がそんなに売上げるはずはない!」というツッコミはなしでお願いします(笑)

3D円グラフの問題点

まずはこちらの円グラフをご覧ください。

3D円グラフ サンプル

架空家電量販店の今月の製品別売上げ比率を3次元の円グラフにしました。(色合いが良くないのはご容赦ください)

パッと見ると、手前にある緑色の「4Kテレビ」が一番売れているように見えませんか?一見すると、「4Kテレビ」と「冷蔵庫」がこのお店の主力製品なのかな、というように認識できてしまいます。

では、実際の比率はどうなのか、値をはめ込んでみましょう。

 

3D円グラフ サンプル

一番比率が高そうに見えた「4Kテレビ」は、実は奥にある「液晶テレビ」よりも全然比率が小さかった訳です。隣の「冷蔵庫」と足し合わせても、27%しかありません。全体の約4分の1です。でも、手前の2つが大部分を占めているように見えてしまいませんか?

これの原理は単純で、「遠近法」でそう見えてしまうだけです。人間は、立体的に描かれているものに対して、手前にあるものは大きく見え、奥にあるものは小さく見えます。ただ理由はそれだけだったのです。(「4Kテレビ」を手前に置いたのも、あえて見る人を誤認させるためにそうしました)

今はExcelなどのOfficeソフトでも、簡単にグラフの3D化ってできますよね。円グラフだけでなく、棒グラフでも3Dにできます。しかも、回転角度が設定できるので、奥行きを自由に指定することができるんです。

冒頭のテレビで映されていたグラフが、意図的だったのかそうでないのかは分かりません。しかし、グラフをかっこよく見せようとして安易に3D化してしまうことは、日常的に仕事をしている中で往々にあるかもしれません。

3D円グラフは正しくデータを認識できない

以上のことから、3D化された円グラフは使うべきではありません

もしそのような円グラフを見かけた際は、「数値の確認」や「要素の配置が不自然ではないか」、「無理な回転角度になっていないか」を注意して見てください。


平面の円グラフではどうか

3D円グラフを使うべきではない理由はご理解頂けたかと思います。では、平面(2D)の円グラフならどうでしょうか。

2D円グラフの例

先ほどの3D円グラフを、そのまま平面である2D円グラフに変換してみたいと思います。

2D円グラフ サンプル

無駄な色加工はせずに、ベタな色合いにしています。ツールにもよりますが、円グラフを光沢にさせたりできるのですが、そういうのは使わない方が良いです。見た目はかっこよくなるのですが、光の反射具合で認識を誤らせる傾向にあります。

さて、2Dグラフにしたことで、それぞれの製品の売上げ比率がより明確になったかと思います。一番大きい比率は「液晶テレビ」で、一番小さいのは「洗濯機」ですね。

ただ、この製品別の比率、頭に入ってきますか?順位関係も分かりづらくありませんか?

え?比率が大きいものから並べればよいだろう?確かにそうですね。では並び替えてみます。

 

2D円グラフ サンプル

どうでしょうか?先ほどよりは、売上順位が分かるようになっていますね。

ただ、円グラフで表現されている各製品毎に占める全体の「割合」の感覚が掴めますか?なんだかボンヤリとしてしまいませんか?

円グラフで表現をするのには要素が多すぎて、人間の脳では理解しきれません。こういう場合は、単純に棒グラフにしてみると分かりやすくなります。

では変換してみましょう。

2D円グラフを棒グラフへ

棒グラフ サンプル

製品別の売上げ比率の順位関係が分かりやすくなったと思いませんか?一番比率が大きいと思っていた「液晶テレビ」と、一番小さい「洗濯機」にこんなに差があったのかということを教えてくれます。

また、他の製品たちにはほぼ比率に差がないことも、理解しやすくなっているのではないでしょうか。

両方を見比べてみましょう。

 

「円グラフの中に凡例を書き込めば、分かりやすくなるんじゃないの?」と思う方もいるかもしれませんが、もはやそこまでするとごちゃごちゃして円グラフにする必要性がなくなります。それならいっそ、数字だけの表で見せた方が良いです。

いつ円グラフを使えばよいのか

では、円グラフはどういう時に使えばよいのでしょうか。

2D円グラフ サンプル

このように要素が2つしかなく、全体に対しての割合を明確に示したい時には有効なグラフになり得ると思います。

2D円グラフ サンプル

また、要素は少し多いものの、その割合が極端に低いものを含んでいれば、円グラフでも表現しても良いかもしれません。

ただ私個人の考えとしては、グラフ内の要素が4つ以上になる場合には、円グラフ以外の表現方法を検討するのをおススメします。要素が4つ以上になると、絶対的な数値の差というものが把握しづらくなるので、やはり円グラフは避けるべきだと考えます。

「百分率で占める割合をどうしても表現したい」と思う時もあるかと思います。そういう場合は、単純明快に比率がはっきりと分かれている時に使うのが良いと思います。意外と棒グラフでも、割合って頭に入るものです。ちなみに時間軸で割合を比較したければ、積み上げ棒グラフや面グラフが良いと思います。


円グラフは安易に使ってはいけない

今回は分かりやすくするために、百分率での割合を円グラフとして表現しました。しかし、これらがもし売上個数などの実数であったとしたら、どうでしょう?もっと分かりにくくなってしまいます。

他にもで、『時系列で並べて』みたり、『店舗ごとに並べて』みたり、そういう使い方をされているところがあるかもしれません。ただ、そういう場合には、もっと適したグラフがあります。(その話はまた別の機会に)

円グラフの有効な使い道は、今では非常に限定的になっています。むしろ、いっそのこと円グラフを使わない方が、見る人の理解は捗るでしょう。

作るのが簡単なので、つい円グラフにしてしまいがちかもしれませんが、そういう時は作る前に一度深呼吸して、他のグラフ形式が最適ではないか考えてみてください。

グラフを作る目的は、人に正しくデータを理解してもらうためのものなのですから。

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この記事を書いた人
もぐ

5歳からファミコンを始めて今では立派なおっさんゲーマー。元システムエンジニアで、システム開発にも関わっています(お問い合せはこちらまで)

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