このページでは、WiFiルーターを選ぶ上で「どのような目的で無線LANを使いたいのか」という視点で見たときのポイントをご説明します。
目的に応じて最適な機種は異なる
当たり前と言えば当たり前なんですが、「Wi-Fiをどう使いたいのか」によって最適な機種というのは異なってきます。
自宅や小規模オフィス向けのWi-Fiルーターは、安いもので2千円から~高いもので2万円ほどします。
予算に余裕があれば高いやつを選んでもらえば(一部評判悪いものを除いて)おそらく問題ないですが、みんながみんな高いものを選べる訳ではありません。できれば無駄遣いにならない、賢い買い物をしたいと思うはずです。
そのため、Wi-Fiルーターをご検討されている方は、「想定している使い方がちゃんと実現できるかどうか」を見極めないといけません。例えば、このようなことを想定されると想像します。
- 独り暮らしでスマホとパソコン用にしか使わないから、最低限のものがあればいい
- 家が広くて家族もいるので、みんながストレスなくWi-Fi通信できるものが欲しい
- パソコンやスマホだけでなく、タブレットやゲーム機、他にもいろんな電化製品を通信させたい
- 映像サービスを使うことが多いので、高解像度の動画もサクサク見られるようにしたい
全部の利用シーンをカバーするのは難しいですが、なるべく疑問に答えられるような解説をここではしたいと思います。
何をWi-Fi通信したいのかを把握しておく
Wi-Fiルーターを選ぶということは、Wi-Fi通信をさせたい「モノ」があるということですよね。ここで言う「モノ」と言うのは、パソコンやスマホ、ゲーム機などの電化製品を指します。
で、そこまで意識しなくてもいいんですが、「製品によって対応している無線LAN規格が異なる」ということは最低限抑えておいて欲しいんです。
同じ「スマホ」という括りで見ても、
- iPhone6s/iPhone7であれば「IEEE802.11ac」に対応していますが旧式のiPhoneでは対応していません
- Nintendo WiiUは2.4GHz帯の「IEEE802.11b/g」にしか対応していませんが、Nintendo Switchは「IEEE802.11ac」にも対応しています
- 旧式のPlayStation4は「IEEE802.11n」までの対応でしたが、最新式のPlayStation4は「IEEE802.11ac」にも対応しています
通信させたいモノによっても、Wi-Fiルーターをいいもの(高いもの)にすべきかどうかの判断が変わってきますので、ある程度意識はしておいた方がいいでしょう。
Wi-Fi通信可能な代表的な製品の規格一覧
ここでは、Wi-Fi通信させる電化製品として代表的なものの対応規格を載せておきます。
スマートフォン
- iPhone7 (802.11a/b/g/n/ac * MIMO対応) iPhone6s (802.11a/b/g/n/ac *MIMO対応)
- iPhone6 (802.11a/b/g/n/ac)
- iPhone5s (802.11a/b/g/n)
- Xperia Z5 (802.11a/b/g/n/ac)
- Xperia Z4 (802.11a/b/g/n/ac)
- Galaxy S7 (802.11a/b/g/n/ac *MIMO対応)
- Galaxy S6 (802.11a/b/g/n/ac *MIMO対応)
- Nexus 6P (802.11a/b/g/n/ac *MIMO対応)
- Nexus 5X (802.11a/b/g/n/ac *MIMO対応)
- Zenfone3 (802.11a/b/g/n/ac)
- Zenfone2 (802.11b/g/n/ac)
- Zenfone2 leaser (802.11b/g/n)
タブレット
- iPad Pro (802.11a/b/g/n/ac *MIMO対応)
- iPad Air2 (802.11a/b/g/n/ac *MIMO対応)
- iPad Air (802.11a/b/g/n)
- iPad mini4 (802.11a/b/g/n/ac *MIMO対応)
- iPad mini2 (802.11a/b/g/n)
- Nexus 9 (802.11a/b/g/n/ac *MIMO対応)
- Fireタブレット (802.11b/g/n)
- Kindle Fire HD (802.11a/b/g/n/ac *MIMO対応)
- Xperia Z4 Tablet (802.11a/b/g/n/ac *MIMO対応)
- Surface Pro 4 (802.11a/b/g/n/ac)
- Surface 3 (802.11a/b/g/n/ac)
※MIMO対応は商品使用で謳っている場合のみ記載しています
パソコン
- ノートパソコン(機種によってバラバラ)
- デスクトップパソコン(無線LANモジュールを積んでないものも多い)
- Macbook Pro (802.11a/b/g/n/ac)
- Macbook Air (802.11a/b/g/n/ac)
- Mac mini (802.11a/b/g/n/ac)
※Macは2016年2月時点で最新機種の場合
ゲーム機
- 最新式Playstation4 (802.11a/b/g/n/ac)
- 旧型Playstation4 (802.11b/g/n)
- Playstation3 (802.11b/g)
- Playstation Vita (802.11b/g)
- Nintendo Switch(802.11a/b/g/n/ac)
- Nintendo Wii U (802.11/b/g/n) ※但しnは2.4GHz
- Nintendo Wii (802.11b/g)
- Xbox one (802.11n)
- New 3DS (802.11b/g)
- 3DS (802.11g)
- PSP (802.11b)
STV(セットトップボックス)
- ChromeCast (802.11b/g/n)
- 新型Fire TV Stick (802.11a/b/g/n/ac *MIMO対応)
- 旧型Fire TV Stick (802.11a/b/g/n *MIMO対応)
- Apple TV (802.11ac)
テレビ・レコーダー・プリンターなど
- ※製品によって異なる
※充分調査したつもりではありますが、誤りがあるかもしれません。念のためご利用予定の製品の無線LAN仕様は、説明書などでご確認頂くのが良いかと思います。
家の広さ・大きさと利用人数によって推奨機種は異なる
前の章にて、Wi-Fiの伝搬距離についてのお話をさせてもらいました。ざっくり言うと、「どの無線LAN規格が使えるか」「家の広さや構造」「製品のアンテナ数」によって異なってきます。
そのため、Wi-Fiをどういう環境で誰が使うかどうかによって、選択すべきWiFiルーターも変わってくるという点は覚えておいてください。
基本的には、利用人数が増えていけば使うWiFiルーターもより高機能のものの方が適しています。人によってどんな電化製品を使うかはバラバラなことが多いので、複数の無線LAN規格が混在しても大丈夫な機種を選ぶ必要があります。
そうなると、必然的に「2.4GHz帯」と「5.2GHz帯」の無線LANが混在して使われるようになります。全て「5.2GHz帯」に移せれば分かりやすいですが、「2.4GHz帯」でしか使えない電化製品も多いですからね。
ただ、Wi-Fiルーターがどちらの帯域の無線LANを扱えるとしても、この両方の規格を通信させているとどうしてもルーターの負荷が高まります。
エントリーモデルの安いルーターだと、その通信を処理するための脳みそにあたる「CPU」が1コアしか積んでいないことが多いんです。利用人数が多くて利用頻度が上がれば、処理はどうしても遅くなってしまいます。
また、Wi-Fi通信したい範囲が広ければ、外部アンテナを多く積んだWi-Fiルーターの方がいいです。アンテナも内蔵式よりは、大型で可動式の外部アンテナの方が望ましいです。
無線LANの電波は、どこに居ても使えるようにするのが基本です。ですので、全方向性(無指向性)のアンテナが標準になります。
ただ、それでもアンテナの向け方次第では、利用する場所への電波強度を高めることができます。そのため、内蔵式アンテナのものよりは外部アンテナのタイプの方が使い勝手はいいですし、電波強度の調整もしやすくなります。
スマホでも設定可能な機種がおすすめ
最近はパソコンを持たない方が増えているという話をよく聞きます。スマートフォンやタブレット端末があれば、パソコンがなくてもネットに関するサービスは充分活用できますからね。
そんなスマホのみでネットを利用されている方も、最近流行りのゲーム機でオンライン対戦をやりたいと思うことがあるかもしれません。スプラトゥーンは発売されて半年以上経ちますが、未だに大人気ですからね。
そうなると、パソコンではなくスマホでもWi-Fiルーターの設定ができる機種を選ばないといけません。
最近のWi-Fiルーターはかなり手軽に使えるものが増えていますが、インターネット環境(フレッツ光などのブロードバンド向け)の設定は絶対に行わないといけません。プロバイダから送られてきたIDとパスワードなんかを設定する必要があります。
旧来の無線LANルーターだと、設定画面はパソコンのブラウザ向けだけのものがほとんどでした。スマホでももちろん画面は表示できましたが、パソコン向けの画面設計だったので非常に使いづらいものでした。
そんなことを踏まえると、スマホしか所有されていない方はスマホでも設定ができるWiFiルーターがオススメです。
また、パソコンは持っていても、調べ物をするときやネットの買い物なんかもスマホやタブレットで済ませてしまう方も多いのではないでしょうか。私もパソコンの利用頻度よりもスマホの方が触っている時間が多いですからね。
最近では来客用に専用アクセスポイントを設定できる機種も出てきていますので、スマホで簡単に各種設定ができるWiFiルーターを選んだ方が便利ですね。
速度や安定性を求めるなら高機能なものがおすすめ
「100Mbpsなんて、ブロードバンド環境は速くなったな~」と思っていたのも昔の話、今は「フレッツ光ネクスト」や「NURO by So-net」など1Gbpzの高速なインターネット環境が使えるサービスが人気です。
動画配信サービスも定額制のものが増えて、さらに4K対応テレビの値段も下がってきています。より高画質な動画を見ている方も増えているのではないでしょうか。また、ゲームのダウンロード購入する方も増えて来ているので、いち早く新作ゲームをプレイするためにインターネット環境をより速いものにしている方もいるかもしれません。
ただ、ブロードバンドの契約を変えただけではその速さのメリットを享受することはできません。Wi-Fiルーターもそれに合わせた仕様のものに変えなければ効果が充分に発揮できません。
まずはブロードバンド側のモデムと繋ぐためのWANポートが1Gbpsのものである必要があります。そして、有線LANを使うのであればそのWi-FiルーターにGiga対応したLANポートが必要ですし、無線LANであれば最新の規格に対応しているのがベストです。
もし「細かい仕様までは難しくてわからない・・・」という場合には、1万円台中~後半とちょっとお値段は高いですがハイエンドモデルを選んで頂くのがおすすめです。