【自宅・小規模オフィス向け】SEが教える無線Wi-Fiルーターの選び方とおすすめ機種【予算別】

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最近はどこの家庭でも色々な電子端末や電化製品を繋ぐためにWiFiネットワークを構築されるようになってきましたね。

私はもともと大手電機メーカーでシステムエンジニア(ネットワークエンジニア)をやっていました。学生時代のうちからエンタープライズ向けネットワーク製品で有名なCiscoの資格を取ったりして、わりとSEの中でもマニアックな道を進んでいました。

だから、今の通信環境が進んでいる世の中はとても面白かったりするんですよね!ただ、インターネット上の情報がまだまだ少ない。。。


ということで、今回は家庭向け・小規模オフィス向けで使えるWi-Fiルーター(無線LANルーター)の選び方とその前提となる知識、おすすめの機種を予算別に詳しくお話したいと思います!

【ご案内】無線LAN(Wi-Fi)に関する基礎知識などの堅い話からまず入りますので、細かい話は抜きにおすすめWi-Fiルーターだけ知りたい場合は目次にある3ページ目にジャンプしちゃってください!

無線LANとは

無線LANは、「無線」と付いているのでそのものずばり「線がないLAN」のことを指します。「LAN」というのは「Local Area Network」の略のことで、閉じられた空間の中で通信するネットワークのことを意味します。私たちが日常で使う場面で考えると、「家の中」「学校の中」「会社の中」という利用者が限られたネットワーク環境のことですね。

もともとは単純に「LAN」と使われていたのですが、このLAN環境はこういうケーブルを使って構築していたんですね。

LANケーブル

LANケーブル」と言われるものです。実際にはこういうケーブル以外にも種類が複数あるのですが、一般的にはこのタイプのものが多く使われています(私は仕事で光ファイバケーブルなんかもよく扱ってました)

そのため、LANと言えば「有線」が当たり前だったのですが、技術開発が進んで物理的な線がなくても通信できる『無線LAN』というものが登場したわけです。

この無線LANは目に見えない電波を使って通信をするのですが、電波には周波数帯域というものが存在します。この周波数帯域は無線LANの規格によって異なるのですが、主に2.4GHz帯と5.2GHz帯があります。

その帯域の中でも規格によって微妙に周波数の使われ方が異なっていて、その結果色々な無線LAN規格が存在しています。(詳しくは後ほど説明します)

iPhone

スマートフォンやゲーム機の商品仕様を見ていると、「IEEE802.11 a/b/g/n」なんて記載をよく見かけますが、これが無線LANの規格というやつです。「IEEE802.11」が無線LANそのものを扱う委員会の名称で「a」「b」「g」「n」がそれぞれの細かい規格になっています。

この例で言えば、「IEEE802.11という世界標準の無線LAN規格のうち、a・b・g・nの4つに対応しているよ」という意味になります。

無線LANとWi-Fiの違い

「ここ、Wi-Fi使える?」なんて風に最近では定着した『Wi-Fi』という言葉ですが、無線LANという言葉とあえて使い分けている人は少ないのではないでしょうか?

個人的な感覚ですが、「パソコンで通信するときは無線LAN」「スマホやゲーム機で通信するときはWi-Fi」「外で使える無線LANはWi-Fi」という使い分けが自然となされているのかなあと個人的に感じます。

ちなみにこの2つの言葉、実は内容としてはどちらも同じことを指しています。

WiFi

米国にあり「Wi-Fi Alliance」という無線LAN製品の普及を推進する業界団体があって、「無線通信を行う製品は通信ルールを統一して相互にやりとりできるようしよう!」という目的のために定められた規格が「Wi-Fi」になります。

そしてその「Wi-Fi」では、先ほど挙げた「IEEE802.11」で定められた規格に則って製品を作ることと決まっています。だから、無線LANもWi-Fiも実際には同じものを指すわけです。(※厳密に言うと、Wi-Fiが使える製品にはWi-Fi認定というものが必要になってきます)

我々が普段言葉にする「無線LAN」「Wi-Fi」はニュアンスの違いみたいな要素が大きいので、この辺は特に意識しなくていいと思います。

※この記事では、我々がよく普段使う「Wi-Fi」という表記を主に使っていきたいと思います。


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無線LAN規格

じゃあ、その「無線LANの規格」とやらはそれぞれ何が違うのか?という話があります。

ちょっと小難しい話になるので、ざっくりと規格毎による違いを説明したいと思います。

今現在、世の中に普及している無線LAN規格は主に5種類あって、それぞれ【周波数】【最高速度】【ストリーム数】の差異が目安になります。

  • IEEE802.11a(5.2GHz帯 / 54Mbps / 1ストリーム)
  • IEEE802.11b(2.4GHz帯 / 11Mbps / 1ストリーム)
  • IEEE802.11g(2.4GHz帯 / 54Mbps / 1ストリーム)
  • IEEE802.11n(2.4GHz帯+5.2GHz帯 / 600Mbps / 最大4ストリーム)
  • IEEE802.11ac(5.2GHz帯 / 6933Mbps / 最大8ストリーム)

※速度は最高理論値

アルファベットが飛び飛びになっているのは、途中策定が検討されていた規格があるからです(一般普及しなかったので我々が目にすることがないということだけです)

今現在のもっとも進んだ普及版無線LAN規格は「IEEE802.11ac」で、Wi-Fiルーターだけでなく最新のスマホやノートパソコンもこの規格に対応して来ています。これから先、Wi-Fiに取って替わる画期的な通信が登場することはしばらくないでしょうから、長期間便利に使えるWi-Fiルーターをお探しの方はこの仕様があるかどうかを目安にするといいです。

電波の強さと距離

Wi-Fiルーターを既に検討されている方は気付いたかもしれませんが、よく製品に「戸建て○階建て向け」「マンション○LDK向け」なんて記載がありますよね。

無線LANには電波強度と伝送距離が存在していて、製品や無線LAN規格によってそれらが異なってくるからなんです。テレビの電波と携帯電話の電波が届く距離が違うのは、なんとなくわかりますよね?それと同じです。

※「これを買っておけば大丈夫!」みたいなのが書かれている記事を見かけることがありますが、そこでオススメされているルーターを安易に買って失敗しないように気を付けてください。独り暮らしなら安いモデルでもまあ問題にはなりませんが、一戸建てだったり広い家に住んでいたりすると電波強度に悩まされちゃいますよ。

ただ、ちょっと気になりませんか?なぜか「○○○メートル届きます」と明確に距離が記載されたものが存在しないことに。

そう、厳密に「電波の届く距離」というのは示せないんですよ。なぜかというと、電波そのものは伝搬距離の目安が周波数毎に検証されて分かってはいるものの、我々が生活している環境は「壁」や「柱」や他に電波を出すものに囲まれているからなんです。電波そのものは、障害物や他の電波に影響されて弱くなっちゃうんですよね。

無線LANでは一般的に「2.4GHz帯」と「5.2GHz帯」が使われます。周波数は低い方が届く距離は伸びる性質がありますが、逆にいろいろな影響を受けやすくなります。そのため、「2.4GHz帯」の方が伝搬距離は伸びるものの、影響の受けやすさから思った以上に電波が届かないなんてこともよくあります。

※例えば、テレビの電波UHFは470 – 770MHzを使っていますが、周波数帯が低いので非常に高い場所から高出力の電波を発しないといけません

「2.4GHz帯」は電子レンジやBluetoothとも干渉してしまうため、思わぬ問題にぶつかることも意外とあります。

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また、電波を安定させるために各社Wi-Fiルーターのメーカーが製品に外部アンテナを付けているものもあります。最適な通信ができるように独自機能を持たせていることもあり、いろんな要素が複雑に絡み合うことから明確な伝搬距離というのが表記されていないんです。


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Wi-Fi(無線LAN)ルーターのメーカー

無線LANの規格は常に検討されて進化していますが、Wi-Fiルーターを作っている各社メーカーは新しい規格に対応させるための製品開発をしています。ITの世界は技術革新のスピードが速いので、購入の際はできれば新しく発売されたものを買いたいものです。

日本で使われている自宅向け(小規模オフィス向け)Wi-Fiルーターは、ほとんど国内メーカーのものが主流になります。

※ちなみに企業などの大規模ネットワークでは、CiscoやJuniperなど外資系ベンダやNECや日立などの大手電機メーカーのものが多いです。

今回対象となる自宅向け・小規模オフィス向けWiFiルーターを検討する上では国内メーカーでは4社海外メーカーでは2社を押さえておけばいいと思います。

技術誌などでの評価も踏まえて、各メーカーの特徴を説明します。

バッファロー

国内で最も売上高を誇るパソコン周辺機器メーカー『バッファロー』です。Wi-Fiルーターだけでなく、ハードディスクやNAS、キーボードやマウスなど幅広く扱っているので、バッファローの製品が家にないご家庭の方が少ないのではないでしょうか。

バッファローのW-iFiルーターの特徴としては、初心者でも簡単に使えることを意識した機能設計をされている印象を受けます。デジタルに疎い方であれば、バッファローを利用して頂くのをオススメしますね。

また、バッファローは新しい機能の開発にも力を入れています。多機能さもウリです。

公式HPも非常に丁寧に書かれているので、購入前に製品のことをじっくり知ることができるのが◎

NEC

NEC(日本電気)はもともとNTT向けの電話の交換機をメインにやってきた会社ということもあって、今もなお通信関係の技術力に高いと評価されています。

そんなメーカーのWi-Fiルーターというだけあって、通信の安定さに関しては非常に評価が高いです。法人向けのルーターも多く販売されています(私もよく触ってました)

電波強度や安定性、機種による性能のばらつきも少ないので、安定した無線LAN環境を求めたい方にはおすすめできるメーカーです。

ただ法人向けがメインという会社だけあって、公式HPでの説明も少ないし、説明書も不親切です。快適なWiFiではあるものの、初心者には取っつきにくいのでその点注意が必要です。

I-O DATA

パソコンの周辺機器メーカーの老舗である「アイ・オー・データ機器」です。こちらもバッファロー同様に様々な周辺機器を発売していますので、多くの方が馴染み深いのではないでしょうか。

Wi-Fiルーターに関して言えば、初心者でも扱える安定した丁寧な機種が多い印象。

ただ、ラインナップや多機能性は少々落ちる印象があります。設置の簡単さには定評があるので、価格の安さを求める初心者の方には適しているかもしれません。

ELECOM

こちらもパソコン周辺機器メーカーの国内大手「エレコム」です。他の周辺機器メーカー同様に幅広く製品を発売していますが、入力系の機器(キーボードやマウス、コントローラー)などでの評価が高いメーカーです。

Wi-Fiルーターに関しても積極的な開発をしているようで、機能性もなかなかいいように感じます。が、総じてマニュアルが分かりにくかったりもするのが難点。安定性もよくないので価格で選ぶにはアリなメーカーかと。

ASUSTek

社名からなんとなく想像できるかもしれませんが、SIMフリースマホやノートパソコンなどで有名な台湾のコンピューターメーカの「ASUSTeK Computer Inc.」です。

日本では「ASUS」の略称がおなじみですが、正式な社名なこちらになります(ちなみに以前は「アスース」の読み方だったのですが、今は「エイスース」が一般的になっています)

住まい環境に合わせた製品ラインナップがあり、設定画面のUIもグラフィカルで国内メーカーよりも使いやすい印象を受けました。日本国内でも無線LANルーターとしての評価が高まっています

TP-Link

最近はスマホでも中国製のものがコスパもよく人気ですが、ネットワーク製品の分野では「TP-Link」が高いシェアを誇っています。この会社は中国深センに本社を置くグローバル企業です。

中国製スマホでは高性能なのに低価格がウリというのをよく見かけますが、TP-Linkのルーターも他社製品の同性能のものと比べると価格面が低いものが多いです。

性能面・機能でも他社に劣ることがなく高い評価を受けていますので、コストパフォーマンスの高い無線LANルーターを求めている方に人気です。

※2017年12月にTP-Link製品がNTPサーバに大量の通信を行っていたことが明らかになりました。日本でNTPサーバを運用している福岡大学に多大な負荷を与えていることもあり、やはり中国メーカーはセキュリティ面に不安があると言わざるを得ません。

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この記事を書いた人
もぐ

5歳からファミコンを始めて今では立派なおっさんゲーマー。元システムエンジニアで、システム開発にも関わっています(お問い合せはこちらまで)

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