IoTはあくまで概念であって、IoTで何をするかが大事である

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昨年ぐらいから経済紙などでもよく取り上げられるようになった「モノのインターネット(通称IoT:Internet of Things)」ですが、私は1年くらい前から色々な情報を仕入れてどうビジネスに活かせるかを考えていました。

ドイツの「Industry4.0(産業革命4.0)」やGEが提唱する「Industrial Internet」など、IoTやM2Mを推進する団体などの勢力が増してきていると感じるものの、日本の乗り遅れ感は結構なものがあると感じています。

私はIT関連の仕事に従事しているものの、日本のIT・ソフトウェア業界のレベルの低さには割と群易としています(おまいう的な意見もあるかもしれないですが)


ITもそうなのですが、IoTもやり始めれば利益を上げることができる「魔法の杖」ではなく、あくまでこの概念をもとにどう事業に活かしていくのかが重要なんですよね。

ただ、日本のIT企業が打ち出すソリューション広告などを見ていると、どうも技術だけで何とかなると思っている節を感じます。意識がちょっと低い。IoTを技術という枠だけで考えると、絶対にうまくいきません。

私は具体的にIoTのサービス開発をしている訳ではないですが、リサーチャーとして色々な情報を集めたり見聞きしています。そういったことをする中で、今回IoTに関して思ったことを書きたいと思います。

IoTは何でもかんでも通信させればいいもんじゃない

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一般の人から見ると、「IoT」と騒がれているものの正体って分かりづらいのではないでしょうか。「Internet of Thingsはモノとモノを通信させるだけなんじゃないの?」という認識の方もいると思います。

だから、身近なIoT製品として出てくるものは「冷蔵庫に通信機能が付く」「自動車に通信機能が付く」程度のものではないでしょうか。最近だと2016年4月から始まった電力自由化の話題がホットですが、そういったサービスを使うために必要になる「スマートメーター」もIoT製品の1つになります。

それらを見て感じるのって、「データが取れる」「なんだか便利になる」ということで劇的に何かが良くなるような印象は受けません。なんだかんだ、スマートハウスも全然普及してないですからね。

モノとモノを通信させることで何ができるか」を表面的に捉えて、サービスや商品を開発してもそんなに大したもんは出て来ません。IoTの傘立てやゴミ箱だけあっても、生活は面白くなるけどそこまで役には立たないでしょう。

参考  スマホ連動の「IoT傘立て」「IoTゴミ箱」、KDDIから発売




IoTは狭い視野で見ていても意味がない

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「Industrial Internet」を提唱している米GEは、飛行機のエンジンや発電用タービン、先端医療機器などを製造している巨大製造業です。家電事業が落ち込んで、金融会社みたいになっていたGEも最近金融事業を全て売却して、製造業及びソフトウェアに注力する方針に転換しています。(工ンジニアの数もハンパないです)

それだけIoTに掛ける情熱もすごいのですが、GEはこれらのモノを売るだけで利益を上げようとしているわけではありません。

GEのIoTが進んでいるとも言われるところは、これらの開発製造したものに取り付けたセンサーから得られるデータを用いて、より優れた製品開発に繋げたり、さらに顧客の部品交換の需要予測を立てて修理保全サービスでも売り上げを伸ばしています

事業を運営している企業では、その事業を成り立たせるために使用しているモノやサービスは全部が全部自社が作ったものではないことがほとんどです。航空会社は航空機メーカーから航空機を買っていますし、その航空機メーカーは工ンジンをGEなどから買っていることもあります。

IoTでユーザーの業務を支援する

航空会社はもちろん航空機に精通して高い整備力を持ってはいるものの、工ンジンの細かい不調などを隅々まで目で見て把握することは難しいでしょう。

そこでGEはエンジンの状況や異常をセンサで検知し、エンジン内の部品の交換予測を立てたりメンテナンスを最適なタイミングで提案したりできるわけです

エンジンメーカー側がその辺の細かいケアまで行うことで、ユーザーである航空会社は恩恵を受けることができます。

日本でIoTが進んでいる企業

日本ではIoTの先進企業としては建機メー力一の「コマツ」の名前がよく挙げられます。「コマツ」はもともと盗難防止のためにGPSを付けていたところから始まったわけですが、発展させてセンサから得られるデータを衛星通信などで受け取り、即時の故障検知や交換予測などができるようになったわけです。

今ではIoTによるユーザーメリットをさらに高めるために、ショベルやホイルローダーを使う建設会社の業務効率化のための取り組みを「スマートコンストラクション」というソリューションで多数進めています。

ただ、これらの取り組みは始めてすぐに花開いた訳ではなく、長い年月を掛けて試行錯誤の末、有効性が認められてきた経緯もあることを忘れてはいけません。

エンドユーザーまでを見据えたビジネスモデルに価値がある

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自社製品にだけ向き合っていると見失いがちかもしれませんが、その製品やサービス単体で価値を向上させようと思っても限界があります。

本当に価値を発揮できるのは「工ンドユーザーが喜ぶもの」です。

※自社の利益だけを最優先にしてしまい、顧客を囲い込もうとする通信会社のようになってはいけません。企業なので利益を優先することはもちろん大事ですが、そもそもエンドユーザーの不満を無視するようなことをしていればいずれ見放されてしまいます。

例えば航空機エンジンであれば、価格や燃費効率だけを押し出した工ンジンは経営者層は喜ぶかもしれませんが、それがメンテナンスしにくいものであれば整備士は苦労を強いられます。建設機械も、盗難防止のためだけであればオペレーターは特にメリットを感じませんが、施工業務がより効率的に簡単にできるようになれば喜ぶ人も多いでしょう。

単純に「IoTによって色々な情報を取ることができます!機能が増えます!」っていうのは、単純に「新しい技術があるから使って見た」というレベルでしかないんですよね。

よく分からない機能だけ付けられて、それで値段が上がりますとか言われても利用する側は困ってしまいます。

モノとモノの通信ができるようになったら、エンドユーザーがどんな恩恵を受けられるのかを考える

ここに本当の価値があります。

IT化によって世の中色々なものが電子化・システム化されましたが、かえって不便になったものもあるわけです。「新しい技術があるならとりあえずやってみよう」では意味がありません。




loTを考えるならloT以外も

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IoT単体でモノごとを捉えようとすると、おそらくどこかで壁にぶつかるはずです。

loTによって効果を得るためには、センサから得られた情報を適切に処理できる技術が必要になります。

大量データを出力するものであれば、高速に処理・分析できるための基盤も必要になってきます(最近ではGoogle、Amazon、Microsoftなども提供を始めていますね)。それらのデータを使って、ユーザが喜ぶための何かを示すためには高度な計算が必要かもしれません。あるいは、複雑な統計分析や予測処理が必要です。最近であれば、人工知能の活用を検討するのが最も効果的かもしれません。

そして何より、エンドユーザーが普段どんな使い方やどんな業務をしているのかを知ることも大事になってきます。

踊る大捜査線で一躍話題になったセリフ「事件は会議室じゃない、現場で起きてるんだ!」ではないですが、想像だけで考えてしまうとまったく頓珍漢なものが出来きてしまう可能性は高いです。

※逆に現場だけが知っていればそれでいい訳でもないので、どちらも必要ではあります

もっと視野を広げると、自社製品を作るためのサプライチェーンだったり、同じ業界の競合他社との提携なども重要になります。自社だけの利益を最大限にしようとするのではなく、業界全体の底上げを図ることでちゃんと自社にもメリットが得られることだってあります

業界全体が盛り上がれば、エンドユーザーも恩恵を受けられるわけですからね。どっかの通信会社みたいな横並びのサービス設定されると、エンドユーザーは全くいいことがありません。





国内のloT関連はまだまだ

loTって単体で語ろうとしても、なんだかその技術ばっかりに目が行っちゃって、何をすればいいのかボンヤリとしてしまいます。

ビッグデータもそうですが、IoTや人工知能はパラダイムシフトを引き起こす存在です。おそらくこれは多くの人が気付き始めていることと思います。

しかし、急に理解しようと思ってもすぐにできるものでもないし、もっと幅広い考え方ができないとIoTを使った素晴らしい製品やサービスなんて生まれないでしよう。

私自身も勉強中の身ですので、こうやってアウトプットをしながら考察を繰り返して、持論の深堀りができればと思っています。

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30代半ばの1児の新米パパ。5歳からファミコンを始めて今では立派なおっさんゲーマー。ネットワークなどのITインフラ全般、WEBシステム系の開発やディレクション、データ分析など色々やってるエンジニア。 当ブログ【時機到来】はおかげさまで毎月100万回以上読まれています。 お問い合せはこちら