IoTが浸透することによって商品はより良いものへと進化する(利用情報のフィードバック)

Iot(Internet of Things)」がバズワードのごとく色々な紙面で語られていたと思いきや、気付けば「人工知能(AI)」の方がメディアを賑わせるようになりましたね。これに加えて「ビッグデータ」もセットで考えないといけない時代になっています。

PlayStation VRの発売やポケモンGOのリリースも近くなり、「VR」や「AR」もこれから賑わってくるので、2016年は技術革新の芽が一気に花開く年になると思っています。

そんな主要キーワードである「IoT」に関して、こんな記事を見かけました。

プロダクトから収集されたデータは、あらゆる部門で活用されるようになった。たとえば、カスタマーサービスは、収集されたデータを基に利用状況を把握し、顧客に対してよりよいサービスを提供するための施策を考案する役割を担うようになった。こうした役割は、マーケティング部門と同様で、その垣根は存在しない。

ポーター氏は、「(スマート・コネクテッド・プロダクトの登場で)企業は、新しい組織形態を模索している。新たに登場した部門の代表例が、『顧客成功管理・顧客体験向上部門』と『データ管理部門』だ」と指摘した。

引用元 : マイケル・ポーター教授が「IoTは過去のものになりつつある」と語る理由

言わずと知れた経営学者のマイケルポーター教授が語った内容をもとにした記事ですが、この後半の部分は製造業が主流の日本にとって非常に重要なことを示唆しています

何が重要なのか、私個人が思うこと述べたいと思います。

モノがIoT化しただけでそれが良いものになるわけではない

以前、こんな記事を書きました。

関連記事 IoTはあくまで概念であって、IoTで何をするかが大事である

IoTの製品を作ることを目的にしてもあまり意味はない」という主旨のものになりますが、基本的に「モノを作る」というのは何か目的があるわけです。

趣味であれば別に構いませんが、値段を付けて売る以上は何かしら役に立つものではないといけません。単純に新しいものが好きな人だけをターゲットにしていても、ビジネスとしては成功できません。

ITブームになった時に、多くの業務をIT化することを目的としたプロジェクトが多数発生しましたが、結局失敗したものも多くあります。

特にERPやSCMパッケージを導入することが大企業でブームになった時に、無理矢理日本の商習慣やその企業の業務フローに合わせようとしてカスタマイズし過ぎて失敗した例は枚挙に暇がありません。

私自身、数百億円をドブに捨てたプロジェクトに片足突っ込んだことがありますので、なんとも言えない気持ちになります。

そうならないように、「モノが通信することによって受けることができる恩恵が何かを考え尽くす」ことで、今までになかった新しい価値を享受できることは間違いなく多いです。

ただ、「その商品価値を上げることだけがIoTによって受けられる恩恵ではない」ということも、冒頭のコメントでは意味しているのです。




商品やサービス開発における顧客フィードバックの重要性

革新的なアイデアによって生み出された商品は、たびたび大ヒットとなって多くの人が手にします。特許を取得しておけば、特許利用料で大儲けすることもできるわけです。

ただ、その商品が登場した時点でその商品自身が100%完成しているとは限りません

アイデアキッチン用品のような、構造や使い方がシンプルなものであれば既に完成度は高いと思いますが、ICT技術を詰め込んだものの場合、初めから完璧な製品にすることはほぼ不可能です。

※もちろん、命に関わるようなモノであればその点に関する完成度は高めておくべきではありますが、やはり100%というのは難しいのが現実です。

そうすると継続的な見直しが必要になるわけですが、そういう改善が必要となる設計や開発をする上で、顧客であるユーザーの声というのは非常に重要になって来ます

開発している企業の中でも、もちろん品質試験はします。利用シーンを考えたり、あらゆる使い方を想定します。しかしそれでも、そのテストをする人間の数というのは限られるわけです。何万人、何十万人ものユーザーの使い方をシミュレーションすることはできません。

どうしても設計者・開発者の想定外の使い方をするという事態は起こりえるわけです。

そのため、利用者の使い方を把握できるようにセンサを入れておいたり、ユーザーの声を吸い上げやすい仕組みを入れることで、商品改善のための情報を多く得られるようになります。




不満がない時は顧客はあまり声をあげない

無沙汰は無事の頼り」という諺(ことわざ)があります。分かりやすく言い変えた表現で言うと、「便りがないのはいい知らせだ」ということになります。

スマートフォンが普及して日常的にメッセージングアプリを使うようになった現代でも、頻繁に連絡を取り合う人以外に連絡をするというのは少ないものですよね。1年に1回の年賀状だけ、とか。

そのことと似ているのですが、商品やサービスを利用して満足した場合、企業に対して連絡をするということはあまりないんですよね。SNSや評価サービスなどに口コミとして挙げることはあるものの、その絶対数は多くありません。

そういう「声を上げる」という行動は、ほとんどが苦情のケースになります。問題点や改善して欲しい点があればあるほど、声が上がってきます。スマホアプリのレビュー欄が荒れる傾向にあるのは、こういう人間の行動特性による部分が大きいわけです。

ただ作り手側から考えると、こういう「マイナス評価」だけを受けてしまうと本当に良いのかどうか不安になってしまます。「マイナス評価」は「プラス評価」とセットでできれば見たいものです。でないと、どこが改善すべきところでどこが維持すべきところか判断しにくいからです。




IoT化を進めることで評価されていることに気付ける

「全てに適用できる話ではない」という前提にはなりますが、製品がIoT化することによって得られる恩恵はこの「フィードバック」にもあるわけです。

そもそもたくさんの消費者に購入された製品が使われているかどうか、把握することはできません。

パソコンやスマートフォンなど常にインターネットに繋がっているものであれば利用率を把握することはできますが(レポート機能をONにしていれば)、そうでないものは電化製品であっても利用されているかどうかは不明です。

しかし、IoT化によりセンサなどから得られるデータを収集する仕組みさえ持っておけば、フィードバックデータを蓄えることができます

例えば、GEは航空機のエンジンの情報をセンサから吸い上げていますし、建機メーカーであるコマツのショベルやダンプもセンサから衛星通信などを経由して情報を収集しています。こういう情報は故障時の迅速な対応であったり、予防保全や故障部材の調達計画に活かせるなど、利用する側にも大きなメリットをもたらしています。

他にもビジネス用途では、意外なところにまでセンサが入っていて情報を収集しています。

一般消費者向けの製品では、まずは家電あたりがIoT化の波を受けるのではないかと思います。

日常的に利用する製品に適切なセンサを搭載させて、通信できる機能を持たせることができれば、わざわざ「生の声」を挙げてもらわなくても利用者の声を聞くことができるはずです。